今週(2025年3月3日週)の米国主要企業決算まとめ

今週(2025年3月3日週)の米国主要企業決算まとめ 米国株式

週間スケジュールの概要

2025年3月3日週に主要企業の決算発表が予定されている主な企業一覧(米国市場)。各日の「Before Open(マーケット開始前)」と「After Close(マーケット終了後)」に発表される企業のロゴが並んでいます。特にターゲット(Target)やブロードコム(Broadcom)といった注目企業に市場の関心が集まっています。

  • 3月3日(月): この週は月曜から早速ハイテク企業の決算で幕開けします。アイデンティティ管理クラウドのOkta(OKTA)がマーケット終了後に決算発表予定。他には小型株ながらジェネスコ(Genesco)やエネルギー関連のSunnova Energy、原子力技術のNuScaleなどが予定されています(全てマーケット終了後)。
  • 3月4日(火): 小売業の大手ターゲット(TGT)がマーケット開始前に2024年Q4(ホリデーシーズン)の決算を発表します。同じく朝に自動車部品小売のオートゾーン(AZO)の決算も予定されています。マーケット終了後には、サイバーセキュリティ大手のクラウドストライク(CRWD) とオフプライス小売のロス・ストアーズ(ROST) が注目株です。このほか高級家具のRH(旧Restoration Hardware)やネットワーク機器のCredo Technology、量子コンピューティングのRigetti Computingなど複数の企業が発表予定です。
  • 3月5日(水): 朝はアパレル小売のアバクロンビー&フィッチ(ANF)がホリデー商戦期の業績を報告します。マーケット終了後はハイテク決算が目白押しです。半導体設計のマーベル・テクノロジー(MRVL) 、製薬業界向けクラウドのヴィーバ・システムズ(VEEV) 、クラウドセキュリティのズスケーラー(ZS) 、データベースのMongoDB(MDB)といったグロース株が揃って四半期決算を発表します。それぞれAI需要やクラウド支出動向などに注目が集まる見込みです。
  • 3月6日(木): この週で最も決算発表が集中する日です。朝は全米第2位の食品スーパークローガー(KR)が2024年通年の最終四半期を報告予定。マーケット終了後には、注目のブロードコム(AVGO)が2025年度第1四半期決算を発表します。同社はAI半導体需要の恩恵で売上高前年同期比+22%増の146.1億ドルが予想されています。また会員制小売大手のコストコ(COST)も同日決算(2025年度Q2)を予定しており、堅調な会員ビジネスの成果が注目されます。そのほかヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE) やアパレルのギャップ(GPS) も木曜夕方に発表予定です。
  • 3月7日(金): 週末の金曜日は主要企業の決算発表は多くありません。目立ったところでは、アルゼンチンのエネルギー企業YPF(アルゼンチン国営石油会社)や決済サービスのPaysafeなどが予定されていますが、いずれもマーケット全体への影響は限定的でしょう。

日別詳細

3月3日(月) – ハイテクで週明けスタート

Okta(OKTA) – アイデンティティ管理サービス大手のOktaが週明け月曜の目玉です。決算発表はマーケット終了後で、前年同期比約10%増の売上高(約6億6,800万ドル)と非GAAPベースで0.73ドル前後の利益を市場は予想しています。景気後退懸念の中でもゼロトラストセキュリティ需要は底堅く、同社のユーザー数拡大と費用最適化による収益改善が注目ポイントです。また、この日は他にも中小型のエネルギー関連企業(Sunnovaなど)や小売企業Genescoの決算がありますが、全般的に市場へのインパクトは限定的でしょう。

3月4日(火) – 小売り大手とハイテク成長株の競演

ターゲット(TGT) – 小売り大手ターゲットが火曜朝に2024年第四四半期(11-1月期)の決算を発表します。前年から売上・利益とも減少が見込まれるものの、一部アナリストからは株価上昇余地ありとの指摘もあります。売上高は約307億7,000万ドル(前年同期比-3.6%)、調整後EPSは2.26ドル(-24%)程度がコンセンサスです。ホリデー商戦の成果や在庫圧縮の進捗、さらに2025年の保守的な見通し提示が予想されており、市場は経営陣のガイダンスと経営戦略(特にCEOの後継計画)に注目しています。

オートゾーン(AZO) – 自動車部品のディスカウント小売チェーンであるオートゾーンも火曜朝に2025年度第2四半期決算を発表します。同社はDIY需要や中古車市場の動向に左右されやすく、インフレ下でも必要消費に分類されるため比較的安定した業績が見込まれます。市場では在庫管理と販売店拡大戦略がどれだけ利益に貢献したかがチェックされるでしょう。

クラウドストライク(CRWD) – サイバーセキュリティ業界のリーダー企業クラウドストライクは火曜マーケット終了後に決算を控えています。エンドポイントセキュリティ需要の高まりを背景に高成長を続けてきましたが、今回の四半期は前年同期比で増収率の減速が予想されています。それでも非GAAPベースの黒字維持が見込まれており(前年同期は20%以上のサプライズ成長) 、サブスクリプション契約の純増数や次年度の成長見通しが株価のカタリストとなりそうです。

ロス・ストアーズ(ROST) – ディスカウント衣料・雑貨チェーンのロス・ストアーズは同じく火曜の引け後に2024年第四四半期決算を発表予定です。インフレ環境で消費者が節約志向を強める中、同社の低価格戦略が奏功しているか注目です。売上・利益の前年割れが見込まれていますが 、値ごろ感ある商品構成でどこまで客足を維持できたか、また今期のガイダンスで消費動向に関するコメントが出るかがポイントです。

3月5日(水) – 小売と半導体・クラウドが続々発表

アバクロンビー&フィッチ(ANF) – 若者向けカジュアル衣料のアバクロンビー&フィッチが水曜朝に2024年Q4決算を発表します。同社は近年ブランド刷新が奏功し業績回復基調にありますが、ホリデー商戦期の売上動向と利益率改善が焦点です。インフレ下での消費者の購買意欲や、デジタル販路の伸長にも注目が集まります。

マーベル・テクノロジー(MRVL) – 半導体設計大手のマーベルは水曜引け後に2025年度Q4(11-1月期)決算を発表します。同社はデータセンターや5G向け半導体に強みを持ち、特にAI関連需要がどこまで業績を押し上げたかが注目点です。市場予想では増収増益が見込まれており(売上高はアナリスト予想を上方修正する企業も )、在庫調整局面からの回復度合いや次四半期見通しが株価に影響を与えるでしょう。

ヴィーバ・システムズ(VEEV) – 製薬・ヘルスケア業界向けクラウドソリューション企業のVeevaも水曜引け後に決算を予定しています。比較的ディフェンシブな需要を持つ業態ですが、直近は製薬業界の予算調整の影響や競合Dynamics 365との競争激化が懸念されています。それでも年間のサブスクリプション収益は堅調な二桁成長が続いており、今回も堅実な業績が予想されます。特に来期(FY2026)の成長率見通しが保守的か楽観的か、投資家は注目しています。

ズスケーラー(ZS) – クラウドセキュリティ(SaaS型ゼロトラスト)のズスケーラーも水曜引け後に2025年度Q2決算を発表します。サイバーセキュリティ需要は高水準を維持していますが、同社は前年に比べ成長率の減速が予想されています。それでも堅調な収益モデルによりアナリスト予想を上回る利益成長を見せる可能性もあり、特にビリング(請求額)の伸びやエンタープライズ契約の拡大がサプライズ要因となり得ます。

MongoDB(MDB) – クラウドデータベースプラットフォームのMongoDBもこの日の主要テック決算の一角です。非リレーショナルデータベース「Atlas」の成長が鍵で、クラウド利用拡大トレンドを背景に堅調な増収が続く見通しです。開発者コミュニティでの支持も厚く、DBaaS(Database-as-a-Service)の需要増によりどの程度のガイダンスを示すかが注目です。

3月6日(木) – ビッグネーム集中:半導体・小売

クローガー(KR) – 全米第2位のスーパーマーケットチェーン、クローガーが木曜朝に2024年第四四半期(11-1月期)決算を発表します。食料品はインフレの直接的な影響を受ける分野であり、値上げ転嫁の状況や客数・客単価の動向が業績に反映されます。市場では既存店売上高の伸び率や、先日発表されたアルバートソンズとの統合計画に関する言及にも注目が集まっています。

ブロードコム(AVGO) – 木曜の目玉は何と言っても半導体大手ブロードコムです。同社はマーケット終了後に2025年度第1四半期の決算発表を予定しており、市場の注目度が最も高い銘柄です。AIブームの恩恵を受け、データセンター向けやネットワーク向け半導体の需要拡大で好調が予想されています。売上高は前年同期比+22%の146億ドル超、調整後純利益も前年の52.5億ドルから73.9億ドルへ大幅増益見通しです。もっとも株価は直近のハイテク調整で昨年末の史上高値から約25%下落しており、市場心理はやや慎重です。NVIDIAの好決算後に半導体株が売られる展開もあっただけに 、ブロードコムの業績と同時に発表される需給見通しや資本配分策(自社株買い・増配など)に投資家の視線が集まります。

コストコ(COST) – 会員制卸売小売の最大手コストコも木曜引け後に2025年度第2四半期決算を発表します。堅調な会員数の伸びと高い会員更新率に支えられ、売上は順調に拡大していると期待されています。特に食品や生活必需品を中心にインフレ環境下でも売上増が続いている模様で、市場では前年同期比で一桁台後半の増収を予想する声が多いです。また、過去に例の少ない会費値上げのタイミングやEコマース戦略について言及があるかもポイントです。

ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE) – エンタープライズ向けITソリューション企業のHPEも木曜の決算組です。同社は従来のサーバー・ストレージ事業からサービス型(AaS)収益モデルへの移行を進めており、そのトランスフォームが業績にどう表れているかが注目されます。Q1は例年季節要因で弱めですが、受注残高や利益率の改善が見られればポジティブ材料になるでしょう。

ギャップ(GPS) – アパレル大手ギャップは木曜のマーケットクローズ後に2024年Q4決算を発表予定です。オールドネイビーやバナナリパブリックなど複数ブランドを抱え、ホリデー期の売上が業績に大きく影響します。アナリスト予想では売上減・利益圧迫が見込まれていますが、在庫削減やコストカットの成果次第では予想を上回る可能性もあります。経営再建中の企業だけに、通期見通しや経営戦略アップデートにも市場の関心が高まっています。

3月7日(金) – 目立った決算発表は無し

週末金曜日は主要な決算発表が一段落します。米国市場で大きな注目銘柄の決算発表予定はなく、PaysafeやYPFといった特定業種・海外関連の発表が散見される程度です。従って個別株よりも、この日に発表される予定の2月米雇用統計(非農業部門雇用者数)などマクロ経済指標の方に市場の目が向く可能性があります。

業界別の動向

テクノロジーセクター: 今週はハイテク企業の決算が数多く控えています。半導体ではブロードコムとマーベルという主要プレイヤーが揃っており、いずれもAI関連需要が業績を牽引する見通しです。特にブロードコムはデータセンター向け半導体でNVIDIAなどと協業しており、AIブームの持続性が評価のポイントです。また、クラウド・ソフトウェア企業(Okta、ズスケーラー、クラウドストライク、MongoDB等)の決算からは企業IT支出のトレンドが読み取れます。これらの企業はサブスクリプションモデルによる継続収益が特徴で、景気減速下でも契約更新率や新規顧客獲得が堅調か注視されます。サイバーセキュリティ分野では需要は底堅いものの、投資家は成長率の減速ペースや各社のコスト管理にも敏感になっており、好決算でもガイダンスが保守的だと売り材料になる可能性もあります。総じてテック企業については、「生成AI」や「クラウド最適化」といったテーマがキーワードとなりそうです。

消費関連セクター: 小売業を中心に消費関連企業の決算も目白押しです。ターゲットやロス・ストアーズ、アバクロンビー&フィッチ、ギャップといったアパレル・ディスカウント小売各社の四半期業績からは、米年末商戦期における消費者の購買動向が浮き彫りになるでしょう。インフレが続く中で値下げ販売やプロモーションが利益率をどこまで圧迫したか、あるいは在庫調整が進んでいるかが注目されます。一方、コストコやクローガーといった生活必需品・食品小売は比較的安定した需要が見込まれ、インフレ転嫁の状況や客足動向に関するコメントが業界全体に影響を与えそうです。特にクローガーは同業アルバートソンズとの統合計画が進行中であり、小売業界再編の動きとしても注目されます。自動車部品のオートゾーンも必需的性格が強い業態で、消費関連ではありますがガソリン価格や中古車市場の影響を受ける点で他の小売とは異なるトレンドを見ることができます。

その他の業種: ヘルスケア分野では純粋な製薬・バイオの大型決算は今週ありませんが、医療業界向けITのVeeva Systemsの動向が間接的に製薬業界のIT投資トレンドを示唆します。エネルギー関連では目立った米大手の発表はなく、週末のYPF(アルゼンチン国営石油)くらいです。金融セクターの主要決算は一巡済みで、今週は業種的にはテクノロジーと消費関連に焦点が絞られる形です。

投資家向けのポイント

市場への影響予測: 2024年Q4の決算シーズンもほぼ終了間近で、S&P500企業の約97%が既に決算発表を終えています。今週の残りの決算は一部のハイテク・小売に集中しており、それぞれ個別株の値動きは大きくなる可能性がありますが、指数全体への影響は限定的かもしれません。ただし、ブロードコムのような大型ハイテクはNASDAQやS&Pの構成比も大きいため、その結果次第ではハイテクセクター全体のセンチメントに波及し得ます。また、小売各社の業績と見通しは消費マインドや景気動向を占う手がかりとなるため、投資家は経済指標と合わせて注視しています。

マクロ要因との関連: 今週末には前述のとおり米国雇用統計(2月)が控えており、強い雇用指標は利上げ長期化懸念につながりかねず、ハイグロース株には逆風となり得ます。一方でインフレ指標の落ち着きや賃金上昇の鈍化が確認されれば、ハイテク株に追い風となる場面も考えられます。加えて、地政学リスクや通商政策も無視できません。例えば先週は米政権による対メキシコ・カナダ関税の話題が出て投資家心理を揺さぶりました。半導体分野でも対中輸出規制など政治要因が依然不確実性を孕んでいます。したがって、投資家としては企業固有の決算内容だけでなく、同時に発せられるマクロ経済シグナルにも注意を払う必要があります。

ガイダンスと株価変動: 今週決算を迎える企業の多くは、次の四半期あるいは年度の見通し(ガイダンス)を提示します。既に発表済みの同業他社にならい、保守的なガイダンスを示す企業が多いとの見方もあります。特にターゲットなど小売は2025年見通しで慎重な姿勢を示す可能性が指摘されています。ガイダンスが市場予想を下回れば短期的に株価は下押しされるでしょうし、逆に強気な見通しや増配・自社株買い拡大など株主還元策が出れば好感されるでしょう。過去を振り返ると、ターゲット株は決算後に二桁%の大きな値動きを示したこともあり 、投資家はボラティリティ(変動率)にも備えておく必要があります。

全体として、2025年3月第1週の決算発表は「ハイテク vs 消費」の様相を呈しています。それぞれの企業業績が示すミクロなストーリー(企業収益動向)と、同時に発表される経済指標が示すマクロなストーリー(経済全体の健全度)を突き合わせながら、マーケットは次の展開を占うことになるでしょう。  

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